粉砕開放骨折+上腕神経麻痺など、特別に重篤な骨折を除いては鎖骨の骨折、脱臼で肩関節の用廃(8級レベル)はないでしょう。現実的な最高等級は併合9級と思います。   【事案】

バイクで走行中、交差点で左方よりの自動車と出合頭衝突したもの。その際、鎖骨の肩側を脱臼した。肩鎖靭帯、烏口肩鎖靭帯の断裂を伴うGradeⅢ型の脱臼である。手術で鎖骨のプレート固定が必要となった。

【問題点】

弁護士から紹介を受け、脱臼の程度から変形と可動域制限を予想し、堂々と併合9級の獲得を宣言した。 しかし、主治医は非常に難しいタイプの医師で「障害は残らない」と断言、患者以外の者の関与を嫌った。ここではまともな後遺障害診断書は無理と判断し、近隣にあるリハビリ先の整形外科で、ROM測定、裸体の写真撮影を行い、診断書を仕上げた。

【立証ポイント】

靭帯断裂を伴う脱臼の場合、鎖骨の転位を避けるためにプレートは抜釘できない。したがって変形はかなり微妙であったが、添付した写真からわずかなピアノキーサイン(鎖骨が盛り上がる)を認めて頂いた。かなりギリギリの併合9級だが、受傷の程度から予断し、しかるべき医師に診断いただければ目標等級に届く。弁護士も依頼者もびっくりの結果であったが、調査事務所も私もしっかり見ていますので。

   このシリーズは最後に鎖骨の後遺障害一覧表を見て復習して下さい。  

続きを読む »