血腫の残存は外見上の障害として醜条痕のカテゴリーに入ります。下肢部には大きさによって14級、12級の選択となります。本件のように血腫が消失し、瘢痕も薄れれば、醜状痕の対象にはなりません。しかし、1年以上経っても訴える痛み等から「神経症状の残存」にあてはめて頂いた。このように診断名からややズレた認定もあるのが14級9号の妙味。 もちろん後遺障害審査は画像、検査数値など証拠が重要です。それでもまず”自覚症状ありき”なのです。
14級9号:太ももの血腫
【事案】
原付バイクで走行中、交差点で左方よりの自動車と出合頭衝突したもの。その際、左太ももを強打した。初期診断名は左膝大腿四頭筋不全断裂。
【問題点】
事故当初から血腫の瘢痕があり、痛み、感覚低下が1年経っても残存した。治療も終了し、完治をみずにそのまま放置状態となり、相談会に参加された。瘢痕もほとんど目立たなくなっていた。
【立証ポイント】
とにかく症状固定し、後遺障害の審査に進めねばならない。治療終了から10か月後となるが病院に同行し、MRIの再検査を行った。結果、「血腫の消失」が診断された。側副靭帯損傷を観察するマクマーレーテストも陰性。諦めムードでの申請だったが、”推測サンキュー14級”が認定された。受傷時の筋断裂と血腫が評価されたことに加え、血腫は消えてしまったが、自覚症状を神経症状として評価、つまり、痛み、感覚低下の残存を信じて頂いたよう。
本件は弊事務所ルーキーの山本が初めて単独担当した案件。決して諦めず、心を込めた立証作業から誠心が調査事務所に伝わったのだと思う。後遺障害の立証作業にビギナーズラックはない。訴えに真実があるのみ。
今後も14級9号の味な認定例を取り上げていきたいと思います。