前日より続きます。
人身事故で95%を占める、後遺障害のない、どちらかと言えば軽傷事故。それでも多くの場合に争点となるのが、
① 治療の継続による治療費請求
② 休業損害の証明
③ 慰謝料の妥当性 でしょうか。
通院交通費や雑費は実際にかかった額を明示するだけで、非常識な額を請求しないことが前提となるので割愛します。また物損にまつわる争点はテーマを違えますので、別の機会に。
まず弁護士に依頼する前に自力交渉を検討してみましょう。
1、自力交渉
① 治療費
骨折のない打撲・捻挫では受傷直後に鎮痛消炎処置を施し、あとは保存療法、疼痛緩和処置です。したがって靭帯や軟骨の損傷、神経症状(による痛み、しびれ、その他)が起きない限り3か月を超える治療期間を保険会社に認めさせるのは困難でしょう。「まだ痛い」と訴えても最悪、治療費打切りが待っています。自力交渉では自身の訴える「痛い」ではなく、疼痛が長期化する他覚的所見、つまり医師の診断を示す必要があります。しかしむち打ちや腰椎捻挫の場合は明確な所見がないことの方が多いものです。交渉むなしく保険会社が治療費を切り上げた場合、健康保険を使って治療継続することが現実的と思います。 それでも長々と通院を続ければ弁護士対応が待っています。やはり治療が長引いている証拠がなければ、無駄な抵抗は止めるべきです。もちろん打ち切り後の治療費を自分で負担すれば問題ありません。相手に出してもらう以上、何かと軋轢が生じるのです。
② 休業損害
源泉徴収票で証明されるサラリーマン、公務員の休業損害は明確です。実際の休業日の請求の場合、交渉の余地は薄いと言えます。問題は自営業者です。実際の収入より過少申告となっている方が少なくありません。所得税の申告書が一級の証明書です。その数字が収入の根拠とされます。これは自らが招いたことなので仕方ありません。しかし実態収入を総勘定元帳、賃金台帳、入金口座の通帳などで明らかにすることができないわけではありません。これらを誠実に提示し、保険会社担当者に訴えるしかありません。やはり苦しい交渉となります。
③ 慰謝料 続きを読む »