私は被害者側の仕事をしています。損保出身ですが現在は一切損保会社と取引はありません。では損保会社は絶対的に利益相反する敵でしょうか。いえ、場合によってはお互い協力することもあり、稀に共同戦線もありえます。  

 昨日の案件は相手損保が一括対応(治療費支払い)を打ち切ったため、自身が契約している人身傷害特約へ請求を行っている被害者の件です。ケガと既往症の関係が不明瞭で、かなり迷走しています。このようなもつれた糸を解きほぐし、解決へのレールをひく仕事が必要です。かなり大変な作業ですので、損保担当者の協力があれば大助かりです。昨日はそのようなことから人身傷害の担当者に来訪いただき、打合わせを行いました。

 このような時に心配されるのは、依頼者を置き去りにした損保&士業の癒着構造です。依頼者に背信となるような保険会社との折衝は絶対にいけません。  普通 被害者側:士業vs加害者側:保険会社 の構図がメインです。しかし過失に争いがある事故では、相手損保にできるだけ求償したい人身傷害の保険会社と、これから賠償に取り組む弁護士&立証作業に入る私の利害が一致することが起きます。あたかも「呉越同舟」のようです。

 もちろん前提となるのはコンプライアンスを順守していること、正当な立証作業を行っている行政書士であることの評価・評判です。保険会社からある種の信頼が必要なのです。私見では損保会社の多くは、交通事故業務を行っている行政書士を「小ズルい存在」、もしくは「代書屋ごとき」と思って良い評価をしていません。この業界、少なくとも「いまいましいが、一目置いている」存在にはなりたいものです。

 さて、交通事故は複雑です。本件のように敵対関係の構図ではない利害関係が生じる時に限っては、協力関係も辞さないのです。もっとも平素、保険会社の顧問・協力弁護士が被害者側から依頼を受けた場合、関係損保に対して敵対する受任はできないでしょう。私も損保ジャパン代理店時代は対損保ジャパンの案件は敬遠しました。世の中が資本主義である以上、商売の取引関係は無視できません。やはり信頼できるのは損保から仕事をもらっていない弁護士と思います。そして保険会社は敵でもあり、時として味方でもある不思議な存在と思います。 20111122_1

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