4、情動障害、人格変化
これも前日の注意・遂行能力の障害に同じく、元々の個性を考慮しなければなりません。性格が怒りっぽい人やわがままな人もいるので、やはり家族から聞かなければわかりません。些細な変化では主治医でも把握できないのです。
☐ 些細なことでキレる
☐ 幼児に返ったように行動・発言が子供っぽくなった
☐ 人前で着替えを始めてしまう
☐ 好きなお菓子ばかりずっと食べ続け、他の食べ物に見向きもしない
「易怒性」と言って多くの被害者で経験しています。理由なく不機嫌になる人もおりますが、多くは電車で人の声が大きいとか、テレビのニュースの内容が気に食わない程度のことで、いつまでも文句を言い続けています。通常は理性で抑えられるようなことも我慢できないようです。
幼児退行は認知症患者に多い例です。高次脳機能障害でも30歳になるいい大人が部屋をぬいぐるみで一杯にしたり、家族に甘えたりわがままを言うようになります。
羞恥心が低下する、感情を抑えられずにすぐ泣く、気に入らないと物にあたる、これらは「脱抑制」に分類されます。一つのことに執着する「固執性」がみられることがあります。
このように感情を理性で抑えることができず、より本能的になってしまうようです。
☐ 毎週のようにゴルフをしていたのに、家にあるゴルフクラブに見向きもしなくなった
☐ 猫好きで何匹も飼っていたのに、世話をしなくなった
☐ 明るくよくしゃべる人だったのに、無口で暗くなった
☐ 「誰かが私の財布を隠した」など、被害妄想がある
☐ 掃除、片づけをまったくしなくなり、部屋は散らかり放題。逆にずぼらだった性格が几帳面になり、神経質に掃除をしている
☐ いつも疲れていて家でゴロゴロ、居眠りが多い。突然、寝落ちする 「性格変化」は文字通り性格が変わってしまうことです。久々に友人が訪ねてきてもそっけなく、友人は「人が変わった?」ように感じます。私の経験では性格が陽気になった例はなく、多くは陰気、人見知り、悲観的になる傾向でした。
極端に疲れやすい。これは肉体的な疲れというよりは精神的な疲れです。「易疲労性」に分類されます。この障害により職場や学校への復帰が困難となります。