珍しい温泉銭湯です。正確に言えば地下から汲み上げた鉱泉の沸かし湯です。泉質は塩化物泉、よく温まります。
この銭湯は湯船が3区分されていて、向かって右から温泉、白湯(ジャグジー)、真水です。それ以外は洗い場のみ、壁絵もありません。そして湯船は深めなので、座ると顔がもぐってしまいます。したがって湯船につかまり、しゃがみ込むように浸かります。 塩化物泉でなおかつ湯に含まれる成分がほどよく体液に近いと、浸透圧の関係から体に染み込むのかよく温まり、湯冷めしにくいのです。ここの湯はまさに温まりの湯です。あっという間に汗が噴き出してきます。なるほどそれで真水槽と交互に入るのか・・サウナの効果も望めそうです。
平日なので程よい人数、先客2人が湯に浸かっていました。手早く体を洗い、2人の横に並んで湯船に滑り込みました。しかしよく温まる・・・あっという間に指先までジンジンしてきます。しかし先に入った横の二人はなかなか湯を出ません。正面から見ると3人とも湯船のへりに両手でつかまり、顔だけだして並んだ状態です。ここで熱い湯が大好きな江戸っ子根性がもたげてきます。後から入って先に出るのはちょっと悔しい。2人が出るまで粘り続けました。5分ほど経ったでしょうか、こんなところで何を張り合っているのか、と自問が生じてきました。限界ではないですが真水槽にチェンジしようと立ち上がりました、すると横の2人もぴったりのタイミングで3人共揃ってザーッと立ち上がりました。しかも二人は見事な総刺青!
内心「うっ、なんでこんな時に呼吸がぴったり合うんだよ!」、まるでドラマなどで観る「塀の中での入浴シーン」です。何故かこの後も真水に浸かる時間、洗い場で体を洗う時間、妙にシンクロし続けました。
その後、何人か入浴客が入ってきました。もちろん皆、地元の顔見知りなので、和気藹々と世間話が続きます。完全にアウェイ状態でしたが、地元民の会話に耳を傾けるのも旅情の一つです。小一時間の入浴を終え、小雪がちらつく道を急ぎ足でホテルへ。なんとかぽかぽかが持続、やはり冷めなかった。これなら冷たいビールもいけそうだ。
壁絵はなくともボディペインティングが鮮やかな今回の立ち寄り湯でした。