今日は仙台まで高次脳機能障害が疑われる被害者さんの医師面談です。先に依頼した検査の結果を伺いました。今回はご家族による患者の観察から「記憶」、「遂行能力」に焦点を当てた検査を組みました。主治医の先生にオーダーしたその検査内容は?

1、WaisⅢ ・・・総合的な知能検査

 大きくわけて「言語」能力、「動作」能力を測ります。受傷箇所が右側頭葉(動作)か左側頭葉(言語)かのいずれかである場合、対応する障害と一致しているかを確認できます。本件は脳の広範囲に及ぶびまん性損傷なので、極端な左右差、つまり「言語」「動作」に差が出ませんでした。全般的な低下傾向です。

2、三宅式記憶検査 ・・・記銘力(≒即時記憶)検査。言葉のペアを暗記できるか

3、ベントン記銘検査 ・・・図形を記憶できるか

4、リバーミード記憶検査 ・・・日常生活に即した様々な記憶検査

 総合検査であるウェクスラー成人記憶検査(WMS-R)は行いませんでしたが、細かく記銘力をデータ化できました。

5、トレイルメイキングテスト ・・・数字、文字を素早くつなげるか

6、パサート ・・・暗算の繰り返しを処理できるか

7、ウェスコンシン・カードソーティングテスト(KWCST)   ・・・ルールの変化に対応できるか

 家事の段取りが悪くなったとのことでしたので、遂行能力について3つの検査を実施しました。

    KWCST検査の様子

 このように家族の観察=障害の訴えについて、客観的な検査で裏付けを取ります。そしてこれら一致したデータから主治医の診断を導き出すのです。科学的な理系作業ようで、実は論理的な文系作業と思っています。  

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