先日のMC研修において、十分に説明できなかった弁護士法27条について追補します。
弁護士法27条
弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
72条は前回解説した通り、「お金をもらって人様に代わり、もめごとの解決をできるのは弁護士だけ」とする規定です。74条は「弁護士でないものが弁護士、もしくは法律事務所と名乗ってはいけない」ということです。この27条は「非弁提携禁止規定」と解されています。つまり弁護士の名を使って、弁護士でないものに、弁護士の代理権を使わせてはならないことを規定しています。例として債務整理などの仕事を下請けの整理屋さんにやらせることや、離婚業務を探偵社から紹介を受けて、対価(紹介料)を探偵社に支払うことを禁じています。これは2004年日弁連が作った「弁護士職務基本規程」により具体的に書かれています。
(非弁護士との提携) 第十一条 弁護士は、弁護士法第七十二条から第七十四条までの規定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け、これらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。 (報酬分配の制限) 第十二条 弁護士は、その職務に関する報酬を弁護士又は弁護士法人でない者との間で分配してはならない。ただし、法令又は本会若しくは所属弁護士会の定める会則に別段の定めがある場合、その他正当な理由がある場合は、この限りでない。 (依頼者紹介の対価) 第十三条 弁護士は依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。 2 弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはならない。 では、これを私達メディカルコーディネーターにあてはめてみます。<11条:弁護士との提携> メディカルコーディネーターは代理行為をしません。行政書士資格者は裁判に提出する書類以外は代書行為ができます。また弁護士と連携した業務であっても、弁護士(弁護士事務所)名の書かれた名刺、書類などを使って仕事はできません。
<12条:弁護士報酬の分配> 弁護士が得た報酬を正当な理由なくシェアしてはいけない。
<13条:紹介料> 案件を紹介する際、弁護士から紹介料を貰ってはダメ。また紹介された場合、紹介料をあげてはダメ。
このように、はっきりと「ダメ」と規定されていることは遵守しなければなりません。
どの規定も”弁護士の代理権を資本主義の下に組み敷かない”と言った崇高な理念が根底にあると思います。代理権の保護は結局、依頼者の利益につながります。
他士業、無資格者を問わず、これを知らない、確信犯、理解しない、曲解する輩が後を絶ちません。私達も弁護士と連携する際、この規定に細心の注意を払っています。現場でも弁護士ともよく協議し、遵法を第一としています。 どのような仕事、遊びにもルールがあります。被害者救済を大看板にしている以上、この程度のことが守れないようでは困るのです。