本日は異議申立ての案件で静岡の病院へ同行。半日かけて医師に張り付きました。

 本件被害者は膝のあたりの脛骨骨折、いわゆる高原骨折、プラトー骨折と呼ぶ骨折です。この骨折は過去数度経験していますが、全件、後遺障害が認められています。典型例を列挙しますと・・・

 

1、骨折の癒合後の疼痛の残存

 → 14級9号 ・・・これは良く治った例です。  

2、癒合後のわずかな変形、靭帯損傷を併発

 → 12級13号 ・・・痛み、違和感が激しい例です。  

3、癒合後のわずかな変形、転位で可動域制限

 → 12級7号 ・・・痛み、関節硬縮で曲がりが悪くなった。  

4、癒合後の変形、転位がひどく、可動域制限が大きい

 →10級11号 ・・・素人目にもひどい状態  

5、膝関節の硬縮で足が短くなった

 →13級8号 ・・・ケガをした方が1cm短縮している。  

6、前十字靭帯の断裂があり、膝に固定具を装着

 →12級7号 ・・・いわゆる動揺関節  

7、変形癒合、転位がひどい、または半月板、靭帯損傷が劣悪

 →10級11号 ・・・素人目にもひどい状態   

 このように人体の関節、とりわけ膝は完璧に治ることは少ないように感じます。

 昨日の被害者さんも骨折後の転位がひどく、前方への動揺性1cm、関節硬縮による下肢長の短縮、そして装具装着状況の記載が必要です。事故後4年を経た現在、もはや人工関節置換術しか完治の道が残っていないほどひどい状態なのです。

 しかし、最初の診断書では可動域制限と変形、そして手術後の醜条痕が記載された状態です。これでは正確な等級審査ができません。事実、2の例、12級13号の認定止まりです。本件は装具の使用状況から上記7の10級11号の動揺性を検討すべき障害なのです。さらには5の短縮も記録すべきです。完全に的外れな立証がなされています。これでは診断書の作り直しです。この診断書を作成した医師を責めるより、アドバイスをした弁護士は罪な仕事をしたと思います。

 昨日の医師は大勢の患者さんの治療をこなし、最後に必要な検査と診断書再作成に協力して下さいました。3時間以上待つことになりましたが、これで患者は救われました。医師の真摯な仕事に感謝!感謝!です。

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