担当者:「秋葉先生ですか、○○さんの件で担当となりました△△損保の◆◆です。」

 担当者の変更で、事務所に電話が入りました。担当している被害者の相手の保険会社です。被害者は高齢者で書類全般にお手伝いが必要な方です。私が受任し、フォローをしたことにより、相手の担当者も大助かりのようです。現在、後遺障害の審査中で結果を待っています。電話の内容に戻ります。

担当者:「等級の認定はまだですか?」

秋葉:「はい、今月中には結果がでると予想します」

担当者:「その後は秋葉先生が交渉の窓口になっていただけるのですか?」

秋葉:「滅相もない、私は行政書士なので代理交渉はできませんよ」

担当者:「では、賠償額の計算をして○○さんに託して進めるのですか?」

秋葉:「いえ、これも法解釈に問題のある仕事なので私はやりません」

担当者:「???、そうですか・・・。では認定されたら連絡をお願いします」

秋葉:「はい連絡します。その節はお世話になります」

 さて、この会話から行政書士の交通事故業務の実態が浮かび上がります。つまり多くの損保の担当者は「行政書士は実態上、賠償交渉に介入している」事を把握しています。当然ながら弁護士法72条違反です。しかし保険会社は行政書士の介入に何故か歓迎ムードです。なぜなら良くわかっていない被害者との交渉でこじれるより、代理人の方が交渉自体が楽です。そして行政書士が裁判基準の満額から折れないような強交渉でもしない限り、行政書士先生の顔を立てつつ、なるべく安い金額でまとめたいと思います。つまり弁護士を入れられるよりは、はるかにましなのです。行政書士は裁判もできないし、紛争センターへも同席できないし・・・そのような中途半端な存在との交渉は安上がりでいい?のでしょう。もし行政書士が強交渉で折れない場合、「先生、代理交渉は非弁行為ですよ」とさえ言えば、行政書士は黙ります。 それともう一つ、「書面交渉なら72条違反とならない」ことを行政書士側が主張することを保険会社もよく知っています。ただし、被害者の陰に回って書面を作り、裁判基準を請求しても、この担当者はおそらくこう答えるでしょう。

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