最近、「忙しいすぎませんか?」「休んでいますか?」「大丈夫ですか?」ご心配のお言葉を頂きます。お気遣いありがたく思っております。  確かにこの1~3月は充実しすぎた?年度末でした。まだ仕事を覚えている段階なので仕事の手順、要領が悪いのだと思います。でも少しずつ経験値も上がっていますので徐々に安定すると思います。

 この年度末を振り返ると・・・最大の成果は多くの協力者の皆さんとお知り合いになれたことです。

 年初の目標に照らし、総括を少し。

  1、連携体制の充実

 全国の志をもったすばらしい弁護士先生、患者の立場でしっかり対応してくださる医師、そして多くの被害者の皆さん・・・まさに人との邂逅につきます。新年度からはこれを財産とし、より有機的なつながりを形成していきたいと思います。

2、高次脳機能障害マニュアルの執筆

 今日をもって一旦筆をおきます。この一年で学んだことを集約しました。まだまだ経験、勉強の不足もあり、反省点も多いものです。そして数年後の改訂版に向けての再スタートです。

3、立証型行政書士の確立

 多くの弁護士先生との談話から「行政書士の民事業務について」かなりの疑義、不信がうかがわれることを知りました。  業際問題を一行政書士が語るのは不遜ですが、最も大事なことは・・・それが依頼者の利益向上につながるのか?を常に自問自答しています。      私たち立証型行政書士のレゾンデートル(存在理由)は3つ

① 交通事故 被害者にとって実利ある解決

② 交通事故 紛争化の防止、抑制

③ 交通事故 早期・適正解決による社会的寄与

 

① は経営効率主義で仕事をしない決意です。交通事故専門を名乗る行政書士(赤本書士)が保険会社と書類交渉をして妥協的な金額で示談をする事が実利ある解決とは思えません。有能な弁護士に引き継ぎ、その妥協のない交渉から賠償金の最大化を図ることを基本と考えています。

② は被害者を適正な後遺障害等級に収めることにより、異議申立の必要をなくすことです。また裁判で解決する場合でも論点を絞り込こむ作業を済ませ、難しい裁判・長い裁判とならないようにすることです。これは行政書士にとって最も目指すべき仕事です。

③ これはこの一年で気づいたことです。立証型行政書士が走り回ることで、被害者にとって益のない長期通院を抑制、早期解決を推進します。結果として被害者に心の安寧をもたらし、保険会社も大歓迎、病院も診断書・書類事務の軽減で大助かり、健康保険・労災担当者も安心・・・すべてが好転します。

                             

 週明けから新年度です。新しい計画・アイデアが浮上していますが・・・ 少し休みが欲しいです m(_ _)m

続きを読む »

 毎月のように高次脳機能障害の被害者が相談にやってきます。まず最初にご家族から相談がもちかけられる事が普通ですが、本人が単独で相談に見えることがあります。  はたしてこの方は高次脳機能障害なのか?ご自身で電車を乗り継いでやってくるわけですからそれほど重篤と思えません。お話しを伺ってもよくわかりません。同居のご家族の観察や意見をきかないと判断できないのです。

 何故か? 以下解説します。

 経験上、「私は高次脳機能障害です」と自覚している方は稀です。ほとんどが、「何かおかしい」、「家族からおかしいと言われた」位の認識です。高次脳機能障害の障害者の最大の特徴は「病識の欠如」です。「病識」とは自分が脳のケガで、認知や記憶の障害を負っていると自覚していることです。  はっきり自覚・自己診断している人は ×障害者 → ○心身症 と思えてなりません。

 話を戻します。このように稀に単独で訪ねてくる相談者には「よくわかりません、家族と一緒にまた来て下さい」と家族の同伴の上、再来を求めます。そして後日家族からの聴取によって記憶障害や性格変化のエピソードが語られ、やっと障害ありとの認識に至ります。  そして今後の立証作業にご家族の検査同伴はもちろん、日常生活報告書作成、その他最大限の協力が必要となります。障害者本人だけでは立証作業は絶対にできません。  軽度の記憶障害は度忘れ、言語障害も多少言葉がでないだけ、性格変化は多感な時期だから? 被害者の異変はどんどん回復するはずであるとご家族は期待しがちです。脳外傷による障害は一般的に不可逆的(回復不可能)なものです。ご家族も冷静な判断、対応が必要です。  

ある相談者(被害者の奥さん)とのエピソード。

私   「日常生活であれっ?と思ったことを教えて下さい。」   奥さん「はい。主人に食事をだしたら、『いつもありがとう』と言いました。」

私 「それがどうしてですか?」

奥さん「結婚以来、初めて言われましたよ!これで主人はおかしくなったと確信しました。」 続きを読む »

 車の安全装置と言えばまず「エアバック」が思い浮かびます。このエアバックも運転席、助手席、横からの衝突に対応するサイドエアバックと進化していきました。そしてついに車外の歩行者にも! 最初冗談と思いましたがボルボが開発したそうです。

  ←ん? どういうこと?

You tubeで確認を→http://www.youtube.com/watch?v=yJMzyrX9N1Q

続きを読む »

 高次脳機能障害の研修会での質問から~「神経心理学検査の成績には年齢差、個人差があると思いますが、良い悪いはどうのように判断されるのでしょうか?」。  

 なるほど・・・神経心理学検査の多くは年齢別平均点数、もしくはカットオフ値が設定されています。年齢ごとに平均値がありますので年齢による数値修正は可能です。カットオフ値は「この点数以下は障害あり」となる目安です。そしてこの点数自体は障害の絶対的な判断基準とはなりません。これら数値を分析し、診断につなげるのは脳神経内科医、脳神経外科医の仕事です。加えて検査をしたST(言語聴覚士)のレポートも重要な分析となります。    しかし個人差まではいかがでしょう?これは難しい問題です。実例から説明しますと・・・

 Aさんは現場の肉体労働です。子供の頃から体育が得意で勉強は苦手でした。そして17歳で就職、現場でバリバリ活躍しています。  Bさんは小学校から常に学年トップの成績、そしてパソコンが大得意です。大学を卒業し大手企業に就職、プログラマーとして活躍しています。

 さて、この同世代(年齢差は3歳)の両者が高次脳機能障害となってしまいました。知能検査であるWais(IQ)の成績をみてみましょう。

 Aさん IQ70 平均以下です。 Bさん IQ100平均値です。 Aさんの方が重い障害かな・・・しかし!

 Aさんは元々のIQ90位?(やや平均以下)、BさんはIQ140(入社試験でやったそう) 

 だとしたらどちらが重い障害でしょうか?

 それ以外の検査もAさんの方が数値が低いのですが、元々の能力を考えるとBさんの方が能力の落ち込みが大きいと思えてなりません。

つまりIQ100=平均値だから日常生活に困らない、平均的な能力を保っている、と判断されては困るのです。事実Bさんはシステムのプログラムを制作する仕事へ復帰すべく努力を重ねています。しかし短期記憶障害、ワーキングメモリー(日常や仕事上のごく短期間の暗記)障害でそのような高度な仕事はまったく無理です。メール、ワープロ程度しかコンピューターが扱えません。一方Aさんはコンピューターなどからっきしダメです。それは事故前も後もかわりません。

 日常生活を基準に考えればAさんの方が重い障害、しかし元々の能力を基準とすればBさんの方が重い障害に?。しかし事故前の知能検査の数値が残っていた!なんてことは一度もありません。

 う~ん、悩んでしまうところです。

       研修の質問によって浮上した課題がいくつかあります。それらを立証マニュアルに加筆掲載していきます。締切は明日!徹夜必至です。

続きを読む »

 金曜日から首都圏会議の会場入り、前夜に打ち合わせです。そして翌日朝9:00から夜7:00まで合計18名の相談者の対応となりました。  今回も盛りだくさんの傷病名です。数日前からメールで問題点を抽出している相談者さんはテキパキと解決への段取りの話となります。しかし電話で急に予約した方はその過程がないため、一から話を聞かなければなりません。特に終盤は相談者が詰まってしまい、お待たせしてしまったご相談者さんにはご迷惑をおかけしました(無料なんで許してね)。

 今回の感想をいくつか

〇 脳の不思議

 高次脳機能障害の立証で最初の関門は「障害認定の3要件」です。高次脳機能障害となりうる 1、診断名 2、意識障害 3、画像所見 です。これが欠ける、軽い、曖昧 で障害が否定されてしまう件も多く、立証に大変な苦労を強いられる方がいます。  しかし、一方でこれら3要件が揃いながら自覚症状もなく、深刻な障害を残さずに回復する方も多いのです。心配なので念のため本人・家族と面談を行いました・・・頭部に大ケガを負いながら障害を残さず本当に良かったと思います。わずかな損傷でも大変な障害を負う方もいる中で、人体の(脳の)不思議を感じます。

〇 忙しい方は病院に通えない

 交通事故で受傷したからと言って会社を休んでゆっくり治療ができる方ばかりではありません。会社勤務、自営問わず、責任のある仕事に就いている方は痛みを抱えながら仕事を行い、合間に通院するのが精一杯なのです。結果として十分な治療を行えず症状固定を迎えたとしても、治療実績が少ない為、障害なし=非該当とされるケースがあります。「仕事ができるのだから大したケガではない」との判断もできますが、被害者にもそれぞれ事情があります。その事情を申述書として提出するようアドバイスを行います。・・・うまく審査の方に伝わるといいな ♪

〇 なんとか自力で!

 無料相談としながら契約へ誘導するようなことはしません。多くの法律事務所で無料相談を行っていますが、結局有料契約へ誘致する為の窓口業務?なんて対応も多く聞きます。今回も事故状況から自賠責保険だけが頼りの被害者がおりました。十分な賠償金は得られないと想定します。その場合は行政書士や弁護士が有償でお手伝いする(お金がかかる)ことに馴染みません。なんとか自力で手続きを進められるよう、説明だけではなくビデオや書籍、あるいは徒手検査で必死に解決手続きのレクチャーを行います。  上手く進められるといいな♪

   というわけで10時間があっという間に過ぎ去ります。    翌日は都内某所で研修会の打ち合わせ。実り多い出会い・相談となりました。

 ← 先週の研修会会場が見えます

続きを読む »

 前日の基本となる3つの測定に加え、症状によってさらに特殊な4つの測定を行うことがあります。

 実施する測定項目は専門医の診断により選定します。「専門医+ウロダイナミクス検査の設備」のコンビを備えた病院の確保がなにより重要です。  

膀胱内圧・直腸内圧・尿流同時測定

・膀胱内圧測定に圧を測定するトランスジューサー(電位計測装置)の数を増やすことで、より統合的な尿流動態検査が可能となります。

・排尿筋圧=膀胱内圧-腹圧(直腸内圧)、排尿筋圧を算出することで、(腹圧の影響を除いた)膀胱壁による圧力のみが明らかになります。これにより、咳、体動、いきみ、手洗いなどで誘発される膀胱の不随意収縮を正確に認識し、排尿筋過活動を同定することが可能です。  また、排尿困難があり、いきんで排尿している場合には、排尿時の膀胱内圧の上昇が腹圧による見かけ上のものか、あるいは排尿筋自体が収縮しているのかを鑑別できます。

・外尿道括約筋筋電図を同時に行えば、排尿筋・括約筋協調不全(DSD)の診断ができます。

・ビデオ・尿流動態検査:尿流動態の検査とともに、膀胱尿道造影のX線透視画像を同一画面上に表示・記録する。排尿筋・括約筋協調不全(DSD)の診断ができます。

  ⑤ 漏出時圧(leak point pressure)測定

・膀胱内圧・直腸内圧・尿流同時測定時に排尿筋収縮または腹圧上昇のいずれもない状態で尿失禁が起こった時の圧。腹圧や咳を負荷して施行することもあります(腹圧下漏出時圧)。

・排尿路の閉鎖機能の評価に有効となります。

  ⑥ 尿道内圧(urethral pressure)測定

続きを読む »

 ウロダイナミクス検査とは、排尿時の膀胱(膀胱内圧・排尿筋圧測定)と尿道(尿道括約筋筋電図)の働きを同時に記録することにより、排尿障害のタイプ(病型)を診断する検査です。従来の膀胱内圧検査を含み、様々な病態を計測することが可能です。

 蓄尿から排尿終了までの間の膀胱内圧、腹圧(直腸内圧で測定)、排尿筋圧、外尿道括約筋活動、尿流などを測定し、排尿障害の部位や程度を総合的に診断します。その7つの測定項目を順番に解説します。

  ① 尿流測定(uroflowmetry;UFM)

・排出障害の有無と1回排出量、最大尿流率がわかる。最大尿流率が15mL/秒以下で排尿困難とされます。

・尿流率は年齢、性、排尿量の因子に左右されることを念頭に置きます。男女とも、排尿障害の有無に関わりなく、高齢になるに従って尿流率は低下し、また、一般に女性のほうが男性より尿流率がやや高くなります。

膀胱内圧測定(cystometrography;CMG)

・経尿道的にダブルルーメンカテーテルを挿入し、一定の速度で膀胱内へ注水し、蓄尿時排尿終了までの膀胱内圧を測定します。

・尿意の程度、最大膀胱容量、排尿筋過活動(不随意収縮)の有無や程度を観察します。

・患者が最大尿意を訴えても膀胱内圧が低く保たれていれば、膀胱内へ注水を続けて排尿筋過活動が起こるか確認します。

外尿道括約筋筋電図(electromyography;EMG)

・針電極を尿道括約筋に直接刺入、もしくは表面電極を肛門括約筋あるいは会陰に設置し、付近の筋肉の蓄尿時および排尿時の電位を測定します。

(引用文献) 「下部尿路機能ポケットマニュアル」 信州大学医学部泌尿器科助教授 井川 靖彦 先生 石塚 修 先生 著

明日に続きます。

続きを読む »

 先日の弁護士研修会の最終日、「排尿障害の検査」について20分ほど講義をしました。そのレジュメから転載します。    排尿・排便障害は、腰椎圧迫骨折や仙骨骨折の場合に発症するケースが多く、脊髄の腰~お尻の部分=馬尾神経が病原となります。この神経に圧迫、損傷があると下肢のしびれ、歩行障害と並び排尿・排便に異常が起きます。稀に頚髄(首の辺りの脊髄)損傷でも発症します。このように腰椎捻挫、むち打ちを原因として排尿・排便障害に悩まされる被害者さんを多く経験しています。

 事故後に「おしっこが出辛くなった、回数が異常に増えた」被害者さんが行う検査とは・・まずは、膀胱内圧検査です。さらに、原因を追究すべく、より専門的な検査としてウロダイナミクス検査があります。しかし、ウロダイナミクス検査は、普通の泌尿器科では設備がありません。解読・診断できる専門医も限られます。何より、紹介状を書いてまで他院へなど、積極的に検査を行いません。「おしっこが出ないからここ(病院)にきたんでしょ?」=「今更、出ないことを検査してどうするの?」・・・このような受け取り方なので、検査は限定的な場合しか行いません。    しかし!    お医者さんは患者について「おしっこがでない」事を疑いませんが、保険会社、自賠責・調査事務所や裁判官は証拠を出さなければ信じてくれません。立証上、検査は必要なのです。     さらに!検査の必要性はそれだけではありません!!  昨年お会いした泌尿器科の専門医の考えは違っています。排尿障害といっても内圧の不調によるものか、括約筋の不全を原因とするのか原因は一つではなく、それに見合った治療が必要であると指導しています。

 例えば、カテーテル(導尿パイプ)を使用している閉尿(おしっこの出が悪い)の患者さんに対し、お腹を押して排尿を促すような指導が実際に行われています。この場合、閉尿の原因が括約筋不全であるなら逆効果で、さらに増悪する危険性があるそうです。数十年前の知識で治療をしている泌尿器科医も多く、間違った治療と相まって検査の重要性の認識が希薄なのです。

 現在、膀胱の内圧を計測するだけではなく、いくつかの検査を総合した「ウロダイナミクス検査」が最先端です。しかし町の泌尿器科の多くは設備がありません。大学病院クラスの検査先の確保が必要です。

 明日から「ウロダイナミクス検査」を解説します。研修では詳細まで踏み込む時間がなかったので、ここで責任回答させていただきます。

   ← 男性用導尿カテーテル    

続きを読む »

 先月に続き、3/17、18の二日間「交通事故・後遺障害認定実務講座」を行いました。

 今回も全国からのべ50人を超える弁護士先生が参加、協力行政書士・MCも13人が結集です。

 今回のプログラムの概要は・・・

3/17 <後遺障害各論>  

1、目・鼻・口      (講師)宮尾先生

2、醜状痕              〃 

3、上肢             佐井先生、山崎先生

4、上肢              杉本先生、秋葉

冒頭、前回の頚部神経症状と腱反射の復習、MTBIについての補足を行いました。その後各論に。醜状痕は昨年、弁護士の活躍で自賠の認定基準が変わったホットなテーマです。 私は手首のTFCC損傷を担当しました。 肩腱板損傷と可動域制限はとくに関心の高いテーマでした。とくにスマホを使った測定には皆びっくりだったようです。

  3/18 <後遺障害各論/士業の連携体制>

1、下肢              宮尾先生、上野先生

2、下肢               宮尾先生、秋葉 

3、その他障害          宮尾先生、秋葉、杉本先生

4、連携、弁護事務所の取組  大澤先生 

前日に懇親会があり、お疲れモードの様相。しかし午後の下ネタ(下腹部の障害です!)講座から砕けた雰囲気に。 私は自身の経験から、脛骨プラトー骨折、腓骨神経麻痺、腰椎圧迫骨折、排尿障害の検査について発表しました。 そしてCRPS患者自身が参加し、杉本MCと症状の説明をしていただきました。これは大変貴重な経験となりました。 最終コマではよつば総合法律事務所の大澤先生の取組紹介から。続いて連携システム構築に対し、全国の先生から忌憚のない意見が飛び交いました。  

全体の感想ですが、なんといっても高い志と問題意識を持った全国の弁護士先生との邂逅につきます。熱心に講座に取り組む姿勢もさることながら、各先生・事務所の理念・取組に触れ、こちらも大変刺激されました。機会あれば一緒に仕事がしたい先生ばかりです!

ご参加の諸先生方、船井総研の皆様、4日間お疲れ様でした。ありがとうございました。

続きを読む »

【事案】

正面衝突の事案。

【問題点】

相手方共済の誠意の無い対応により戦争状態に。相談前の通院状況・医療機関の姿勢が損害賠償の視点ではマイナスポイントだらけ(自覚症状の記載が甘い、訴えたはずの症状がカルテに記載されていない、中断を治癒と書いてしまう、MRI不要論、など)。通院日数が全部で20日程度と極端に少ない点がどう評価されるか。

【立証のポイント】

戦争などどこ吹く風。やるべきことをやれば大丈夫、後のことは認定を受けてから考えましょう!と全体をクールダウンさせることを意識して行動した。専門医の紹介と、これまでの通院先の記録を(間違い→事実)に修正、この2つを同時進行。3テスラMRI(実際には数値よりソフトや技師の技量が重要)で画像所見を確保し、詳細な神経学的検査と医師の意見を統合して後遺障害申請。

(平成24年3月)

続きを読む »

【事案】

正面衝突の事案。

【問題点】

相手方共済の誠意の無い対応により戦争状態に。相談前の通院状況・医療機関の姿勢が損害賠償の視点ではマイナスポイントだらけ(自覚症状の記載が甘い、訴えたはずの症状がカルテに記載されていない、中断を治癒と書いてしまう、MRI不要論、など)。

【立証のポイント】

専門医の紹介と、これまでの通院先の記録を(間違い→事実)に修正、この2つを同時進行。3テスラMRI(実際には数値よりソフトや技師の技量が重要)で画像所見を確保し、詳細な神経学的検査と医師の意見を統合して後遺障害申請。

(平成24年3月)

続きを読む »

 昨日に続き、MTBIについて。

 先月の弁護士研修会において、「MTBIと高次脳機能障害の区別」を解説しました。限られた時間、30分でこれを解説するのは少し無理がありました。ざっくりとした内容になってしまい、頂いた質問にも完全にお答えできませんでした。

 MTBIの医学的な考察は専門書がいくつか出版されていますのでそちらを参考にしていただくとして、「交通事故相談」「後遺障害立証」という立場から、もう少し踏み込んでお話する必要があります。

 以前、「平成23年4月新認定システム」シリーズで集中掲載したものに加筆修正し、現在執筆中の立証マニュアルに織り込む予定です。先んじて今週末の弁護士研修会において追補版レジュメを配布します。その一文をUPします。

 ご参加の弁護士先生の皆さん、交通事故110番と協力行政書士は責任回答をモットーにしています。十分にお答えできなかったことについては誠実に追加・修正をします。不十分な回答、間違った回答のままにしません。つまりリコールは積極的に開示します!

 

 <追補版から抜粋> MTBIって言葉をご存知でしょうか?これは Mild traumatic brain injury=軽傷頭部外傷 の略語です。  外傷性のない、もしくは希薄な頭部の受傷により、脳障害を残すものとしておおむね認識されています。  症状の臨床実績は比較的新しく、90年代湾岸戦争で爆風にさらされた帰還兵で一定の認知・記憶・情動障害を残す例があり、TBI(外傷性脳損傷)の診断名がクローズアップされました。そして必ずしも脳損傷、脳外傷がないケースも多数含まれ、M(マイルド)をつけてMTBIという呼び方が一般化されました。  これはベトナム戦争の帰還兵がPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、傷病名が一般化された経緯によく似ています。    高次脳機能障害は「脳の器質的損傷」が前提である以上、MTBIは高次脳機能障害とは認められていません。したがって高次脳機能障害が疑われる障害を残しながら脳外傷がない=MTBI、と位置づけられる患者が少なからず存在します。    当然自賠責や労災の基準に満たないこれらMTBI患者は障害認定されません。平成22年9月の高裁判決で障害を認める判決がでたとされましたが、判旨をみるとMTBIが障害認定されたとは読み取れません。この判決も周囲の誤解・曲解を呼び、依然として灰色的な存在が続いています。高次脳機能障害に携わる者にとって、まさに奥歯に刺さったとげです。  続きを読む »

 先月の弁護士研修会の最後のコマで「高次脳機能障害とMTBIと区別」について30分ほど講義しました。

 脳の器質的損傷によって認知、記憶障害となった、遂行能力の低下や注意障害となった、性格変化がおきたものを高次脳機能障害と呼びます。しかし中には脳に損傷がないか、わずかの損傷で同じような症状を示す患者さんがいます。これを現状MTBIというカテゴリーで分類しています。

 平成23年4月の新認定システムでもMTBIは「永続的ではない症状」「治るもの」「長引くのは精神的なものが考えられる」とし、高次脳機能障害とは距離を置いています。22年9月のEさん裁判での9級認定もMTBIの診断名において認めれれたとは捉えていません。

  しかし現実にはにいらっしゃるのです・・・

① 脳にはっきりとした外傷がない 

② 画像上「異常なし」とされている

③ 受傷直後に意識障害がない

  なのに、短期記憶障害(ひどい度忘れ)、ワーキングメモリーの障害(直前にした事、発した言葉をまったく記憶していない)、性格変化(キレやすい)に悩まされている被害者さんです。

 なかには「こりゃ高次脳だ、MTBIだ」と簡単に判断できない患者もいます。この判別は非常に難しく、講義でも「(経験を積んだ上での)勘です」と言ってしまいました。

 何を無責任な!と怒られそうですが。 判別の方法としてあと一つだけ挙げるとしたら・・・

 「高次脳機能障害の患者は病識がない」  

 病識とは「自分はケガや病気で〇〇という障害を負っている、」と自覚できることです。

 これがMTBI患者となると「私は高次脳機能障害なんです」もしくは「私はMTBIです」とはっきり自己主張します。この自信満々度が高ければ高いほど高次脳機能障害とは思えなくなります。脳に障害を負うということは大変重篤な障害なのです。そんなにはっきり自己分析はできないはずです。

 それでも、これは精神疾患の影響か薬の影響か?もしかしたら画像や意識障害が見落とされているのでは・・・迷ってしまうこともしばしばあります。

 今日も難しい被害者との面談でした。しかし診断名、画像所見、意識障害の高次脳機能障害認定の3要件がすべて揃わないので自賠責の審査上では可能性は0です。しかし見落としがないか、もう一度主治医面談、医証の確認をする必要があります。その被害者や家族の人生がかかっています。安易な判断はできないのです。

              

続きを読む »

【事案】

自動車運転中に追突されたもの。

【問題点】

整骨院が治療先の主であったこと、保険会社から弁護士対応をされていたこと。

【立証のポイント】

神経学的検査所見、画像所見、自覚症状を整合性をもって後遺障害診断書に落とし込んだ。

続きを読む »

 昨日は朝から新宿の病院、午後は事務所に戻って確定申告なのですが、急遽親戚の不幸がありまして都内へ逆戻り。  申告は明後日までなので慌てます!!週末の研修会の準備も急ぎ着手しなければなりません。さらに事故相談が立て続けに舞い込んでしまい・・・「忙しいことはそれだけ期待が大きい事」、大澤先生のお言葉に大いに励まされていますが、いやはやなんとも・・・。  業務日誌が一日遅れになってしまいましたが、なんとか取り戻しますよ!  昔から苦境に萌える(正:燃える)タイプですので。 (ただのMという指摘も・・・)

    

   

 

続きを読む »

先週半ばから週末にかけてひどいバタバタした毎日でした。そして息つく間もなく新しい月曜日。

 今週は被害者請求提出のオンパレードです。早めにご相談いただいた被害者さんの診断書は理想的な形でまとまります。しかし症状固定直前からの受任では少しズレた内容になりがちです。その場合、できるだけ審査の方にわかりやすいように意見書・申述書を添付します。

 この被害者からの申述書、等級審査を左右するような重要性はありません。しかし必要書類のみの提出では被害者の素顔というか、ぬくもりが伝わらないと思います。過去の申請でこれを添付し読んでいただいた時、なんとなく審査の方の感情が返ってきた気がしてなりません。  やはり伝えるべきは被害者の実像、人間性、困窮点です。ここからのスタートです。それに医師の診断や画像・検査結果が一致すれば等級認定となります。    ただし申述書にも悪い例があります。等級が認定されなかった相談者の異議申立書などに多いのですが、医師の診断とかけ離れた症状をつらつらと書き、いかに私がひどい目に遭ったのか恨み言を書き綴る内容です。読み手の気分も悪くなってきます。  私が書くものはあくまで人物紹介、状況・症状の補足です。恨み事や糾弾にならないようにしています。

 では躁病気味の一日のスタートです。 午後は病院、夜~明日は確定申告書と格闘です(期限ギリギリとなってしまいました)。

   

  Manic Monday

 80年代活躍したバングルスのヒット曲 バンド時代、一度演奏したことがありました。  

続きを読む »

【事案】

追突事故による頚・腰部捻挫。前回の事故の治療中に新たな事故受傷をしてしまった異時共同不法行為の事案。

【問題点】

整骨院中心の通院であったために後遺障害診断書の作成が出来る主治医がいない。画像所見は得られていないものの神経学的所見と自覚症状に整合性が見られるだけに、的確な診断力のある医師のサポートが求められる。

【解決のポイント】

奥の手である専門医の紹介を行う。神経学的視点で全体をまとめあげる専門医ならではの診断書で被害者請求。併合14級の認定となる。

(平成24年3月) 

続きを読む »

 最近の業務日誌は医療・医師に関する意見が多いような気がします。今日も少しばかり。

 まず誤解なく言わば、ほとんどの医師は患者を救うため現場で必死に取り組んでいます。実際先日お会いした産婦人科医から実情を聞きました。自らの命を削るような勤務時間で医師がバタバタ倒れています。産婦人科、小児科の医師不足は危機的です。    それは別の問題として・・・

 仕事柄、整形外科医との接触が最も多いのですが、困った先生のパターン・・・「様子をみましょう」とはっきりと診断できない、もしくは「これは〇〇の疑いです」と検査もせずに安易な診断をする、「他院で診てもらうなどけしからん!」とセカンドオピニオンを否定する・・・ これらは結果的に誤診につながります。時計を見ながら、いい加減に患者をあしらっている医師は一目でわかります。

 これは医師の力量=診断力の有無を責めているのではありません。患者のために何が最適か、これを忘れてしまった医師を指摘しているのです。もし自らの診断に自信がなければ患者のためにセカンドオピニオンを推奨すれば良い、疑いのある症状はきちんと検査をすればいい、そして限られた時間であっても患者をよく観察する・・・  今までお会いした良いドクターはそれらの対処を自然に行っています。患者の言うことを聞いてさっさと検査手配してくれる、他の医師への紹介状をささっと書いてくれる、これだけで患者からの信頼は絶大です。このような医師の姿勢のおかげで早期回復や後遺障害立証が容易になります。

 しかし現実は受傷からあまりにも時間が経ってしまい、私たちが必死に医師に取り付いてフォローしても「時すでに遅し」が多いのです。もし間違った診断をされても、頑な医師は絶対に非を認めて直すことをしません。治療経過と診断はカルテ、レセプトに残ったまま、覆すことは困難となります。

 やはり、医師を選ぶ目を患者は持たねばなりませんし、不安があったら早期に専門家に相談すべきと思います。問題がはっきりしてからでは遅いのです。

                 

 行列のできる医師ではなくとも、患者の気持ちを汲んでくれる医師なら患者はついていくものです。

 最近、交通事故被害者・相談者さんになんとお医者さまが2名おります。おかげで色々勉強させていただいています。

  

続きを読む »

 昨日は神奈川方面の病院同行でしたが、帰りに横浜の社会保険労務士事務所に寄りました。

 このS先生は20年来の付き合いです。労災関係の手続きにおいていつもアドバイスを頂いています。昨日も、労災請求はもちろん、士業関連の会社組織や周辺情報など、食事中も話が尽きませんでした。

 社労士も税理士も企業の顧問契約が取引の屋台骨ですが、ただ社会保険や税金の手続きをするだけではありません。企業経営に対するコンサルティングが必須の業務、重要な情報提供となります。その中で新しい分野の勉強が話題となりました。それは企業向けカウンセリングです。S先生も来月から継続的にこの研修を受けるそうです。

 企業向けカウンセリングとは・・・近年、労使共に、心の悩みを訴えるケースが激増し、それに対する精神的なケアーが必要になっています。例えば経営者は平素、経営上の悩みを顧客、取引先、また家族にすら言えない立場にいることが多いと思いますが、出入りする税理士や社労士は関係上、意外と話がしやすいと言えます。したがって顧問の税理士・社労士が積極的にカウンセリングに乗り出すことは自然な流れと言えます。また、企業に勤める従業員に対するケアも欧米の大企業なら専門のカウンセラーが存在しますが、日本の、ましてや中小企業に常駐しているわけもありません。増加するカウンセリングの需要に士業の活躍が期待されている背景が浮かび上がります。

 S先生も「会社が潰れるのも困るが、社長に自殺されたら悲惨。取引先が減るだけじゃない・・・」と。クライアントさんの不幸を実際に経験したそうです。

                  

  行政書士、弁護士で交通事故業務を扱う場合、交通事故相談より「カウンセリングが必要なんでは?」となってしまうケースに出くわします。体を病むと心も弱るのは自然なことで、精神的なケアが必要な被害者さんも多いのです。 日頃の業務、直接的な知識、技術の習熟に追われて、新しい勉強が追いつきませんが、今後必要となる学習分野であると思います。

続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2012年3月
« 2月   4月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

月別アーカイブ