交通事故外傷による腰痛で注意が必要なのは既存の腰椎変形です。特に腰椎分離症、すべり症は多数例です。これは脊柱管狭窄症に同じく、一瞬の外傷によって変形をきたしたものではありません。しかし青少年期のスポーツ活動での疲労骨折が原因ともされています。 多くはL5に発生し、X線では犬の首輪のように見えます。椎間関節突起部で骨連続性が絶たれるので、周辺の神経に圧迫が起こり、痛み、痺れ等の神経症状となります。また無症状例も多く、まったく何の影響もなく生活している人も多いのが特徴です。  

■ 脊椎すべり症

 分離症の中で、上位腰椎が下位腰椎に対して前方に偏位している状態を、とくに「すべり症」と呼んでいます。腰椎分離に続発する分離すべり症と、腰椎の退行変性を基盤に発生する変性すべり症に分類されます。  代表的な症状は、痛み、下肢の痺れ、間欠跛行です。 治療は消炎鎮痛薬投与、コルセット装着、腰椎周囲筋の筋力強化体操等です。  保存療法、薬物、運動療法に効果のない重症例では、神経切除術や脊椎固定術の手術が必要となります。

 立証については画像所見で描出し、神経学的検査を行います。しかしこれも脊柱管狭窄症に同じく、賠償については因果関係が争点になり、素因減額される判例が多くなります。

 後遺障害等級についても一連の腰椎症に同じく、神経症状を14と12級に区別します。12級となるのは、画像所見と神経学的検査所見が一致する必要があります。手術を伴う場合11級、可動域に2分の1以上の制限が残る場合8級となります。

  <まとめ> 

 年齢変成やすべり症のように古いケガが素因となって、交通事故で症状が発生するケースは多数です。立証の現場では、既存障害と事故外傷について慎重に考察する必要があります。保険会社の「(外傷性による症状の「全面否定」)、患者の「全面肯定(これは事故のせいだ!)」について隔たった考えによらず、「引金論」を加えて判断していく必要があります。

 腰椎シリーズは一旦終了します。将来さらに経験則を積んで語りたいと思います。     

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