<損傷部位の分類 >
1、上位脊髄損傷
首は7つの骨が積み重なっています。上からC1~C7です。このC1(環椎)~C2(軸椎)に並走する脊髄に損傷が起こると、その支配する肋間筋と横隔膜の運動不能となります。これは呼吸するための機能が失われることを意味します。多くは死亡となる深刻な部位です。 助かったとしても自然呼吸ができないため気管切開し、人工呼吸器を通すことによって生命維持をはかります。
2、下位脊髄損傷
首の部分では頚髄損傷、胸の部分では胸髄損傷、腰の部分では普通に脊髄損傷と呼びます。 多くは両上肢、両下肢、排尿排便障害の症状となります。寝たきりで随時介護が必要ななものから、一定の仕事の影響を及ぼす程度のものまで軽重の幅があります。
3、中心性脊髄損傷
器質的損傷を伴わず、脊髄の損傷自体も発見づらいが上肢にのみ症状がおこる場合があります。首や胸や腰といった脊髄の位置をさすのではなく、円柱型の脊髄を輪切りにしてその中心部と外側(辺縁部)をわけて損傷部位をみます。神経線維は中心よりに上肢、外側よりに下肢とつながっています。したがって病変部を探し当てる?MRI撮影が必要となります。
脊髄に少し脊椎やヘルニアが圧迫しているだけで脊髄損傷と診断する医師がいると聞きました。見ての通り脊髄の損傷は生命や四肢運動に関わる重篤な障害です。患者の自覚症状をしっかり観察し、画像の精査と描写の工夫が大事であると実感している次第です。