「100人に聞きました」・・昔こんなテレビ番組がありました。では「1000人に聞きました、体のどこかに痛みがありますか?」と統計をとると1000人中96.3人が腰痛を訴えたそうです。風邪の咳や痰を訴える人が56.2人ですからだんとつの一位です。(腰痛症ハンドブック 遠藤健司先生著 参照) にわかに信じがたい数字ですが身近な一家、私の親戚を例にとると納得です。
まず大学生の子供さんは高校時代サッカー部に所属、毎日ハードな練習をしていました。しかし接触プレーと過労で腰を痛め、「腰痛分離症」の診断で進学後サッカーを辞めました。深刻な症状ではないようですが、腰に爆弾を抱えていると言っています。 次にお母さんです。昨年転んで腰を痛めたそうで、念のためレントゲンを撮ったら「腰痛変性すべり症」と診断されました。痛みは大したことはないようですが画像を見てショックだったそうです。 次はお父さん。若いころルート運送の仕事で10年間2tトラックの運転をしていました。もうお分かりですね。お決まりのギックリ腰です。3度ほど寝込んだそうです。その地獄の痛みは我慢強い叔父でも涙ポロポロだったそうです。以来運転はせず、運動を心がけています。 最後にお爺ちゃん。年齢変性からの「脊柱管狭窄症」で、最近腰の痛みに加え排尿障害となったそうです。 昨年担当した高齢の被害者は外傷性の椎間板の突出による馬尾神経圧迫のため、下肢のしびれと排尿障害を発症しました。外傷性の立証に大変な苦労をして12級の認定となったのですが、高齢者は程度の差はあれど椎間板・脊椎・靭帯の肥厚によって脊柱管が狭くなります。これを年齢変性か外傷性かを判断することは大変難しく専門医の慎重な診断が必要です。椎間板ヘルニアの神経根圧迫も加齢による変性なのか外部からの衝撃による突出なのか、または両方か?これも同様に迷うところです。 ・・・腰は等級認定も外傷性頚部症候群(むち打ち等)と並び最も非該当(障害の原因は事故ではない!)となりやすい部位です。
もしこの家族が交通事故で腰を受傷したら・・後遺障害立証が大変だなぁ、とため息がでます。