○ 鼻の障害は、
外貌の醜状(鼻の欠損、鼻が曲がった)と嗅覚障害 に大別できます。
○ 口の障害は、
咀嚼障害(食べ物を噛み砕けない)、嚥下障害(飲み込めない)
言語障害(上手く話せない)
歯牙の障害(抜けた、折れた、補綴(人工物を使って修理)した)
味覚障害(味がしない) このように、大きく5分類できます。
これらの障害について、当然に画像所見が要求されます。さらに、嗅覚・味覚等、感覚器の障害を認定するには、以下のプロセスをたどります。
嗅覚障害を例にしますと・・
1、鼻腔が外傷で損傷
鼻に実質的な破壊があり、物理的な変形が残存した結果から、鼻の中の鼻腔が損傷、又は狭くなり、臭いがしなくなったケースです。いわば、マイクの故障でしょうか。
2、嗅覚神経が切断された
臭いは、鼻の奥の嗅粘膜に臭いの分子が付着し、嗅細胞から電気信号に変換されて脳に伝達されます。顔面の骨折などで、この回路が壊れてしまった、いわばケーブルの断線で嗅覚を失うケースです。
3、脳損傷による嗅覚障害
臭いは最終的に脳で判断することになります。上記の1~2までは問題なしでした。しかし、脳に外傷があった場合、脳損傷による嗅覚異常があり得ます。経験上、前頭葉に脳損傷があった被害者さんに多くみられました。これをパソコンで例えればCPUの故障です。
感覚器の障害はおおよそ、このように段階的に原因を探ります。次に検査です。
4、障害の有無・程度を検査
原因の見当はつきました。さて、問題は医師が単に「嗅覚障害」と診断書に書くだけでは、障害認定とならないことです。医師は「臭いがしないから、ここに来たのでしょ?」と患者の訴えに疑いを持ちません。しかし、賠償問題となると、審査側は「臭いがしなくなった証拠」を必要とするのです。したがって、適切な時期に該当する検査をしなければなりません。障害の程度を測る上でも、検査はどうしても必要なのです。
交通事故外傷による後遺障害の世界では、”病院にさえかかっていれば”、障害が自動的に認められるわけではありません。目耳鼻口、感覚器の障害は、被害者側の医療調査・損害立証の必要性を強く感じる分野でもあります。
また、目や耳の障害と同様、顔面や脳などに実質的な損傷のない場合、つまり、画像所見のない嗅覚・味覚障害の立証は苦労します。秋葉事務所では、目立った外傷のない、例えば頚椎捻挫であっても、嗅覚障害の立証に成功しています。その実例は以下をご参照下さい。