脊椎に軸圧、屈曲、回旋、伸展、剪断、伸延などの強力な外力が加わり、脊髄の神経伝導路が遮断され、運動麻痺、知覚麻痺、自律神経障害、排尿排便機能障害を起こします。一口に脊髄損傷と言っても、タイプや症状の軽重は様々です。
まず、完全損傷と不完全損傷に分かれ、不完全損傷は4つの典型に分かれます。等級は表の通り1級~9級ですが、脊髄損傷の有無は不明瞭ながら、軽度の麻痺の場合は12級評価もあります。
完全損傷
脊髄が完全に脊椎や椎間板によって遮断されたり、脊髄そのものが引きちぎれるので、非可逆性で回復はしません。ほぼ、全身麻痺で寝たきり状態は必至です。環椎・軸椎部分の場合、呼吸困難で多くは死亡となります。
不完全損傷
① 前部脊髄損傷・・・運動麻痺はあるが、触覚、位置覚、振動覚は保ちます。
② 中心性脊髄損傷・・・下肢より上肢の運動障害が強く、温覚と痛覚が麻痺、触覚は保ちます。
③ 後部脊髄損傷・・・少数例。触覚、位置覚、振動覚は麻痺しますが、運動障害はありません。
④ ブラウン・セカール型損傷・・・脊髄の片側損傷で、損傷側の運動麻痺と反対側の温覚・痛覚が麻痺。
等級 |
内容 |
喪失率 |
自賠責金額 |
1級1号 (別表Ⅰ) |
神経系統の機能に著しい障害を残し、 常に介護を要するもの |
100% |
4000万円 |
2級1号 (別表Ⅰ) |
神経系統の機能に著しい障害を残し、 随時介護を要するもの |
100% |
3000万円 |
3級3号 |
神経系統の機能に著しい障害を残し、 終身労務に服することができないもの |
100% |
2219万円 |
5級2号 |
神経系統の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
79% |
1574万円 |
7級4号 |
神経系統の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
56% |
1051万円 |
9級10号 |
神経系統の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
35% |
616万円 |